蓄積ヒストリー

内向型女子32歳。東京で、もがいて痛みながら作り出す、余白のある人生。

内向型にこだわらない生き方―自分らしさの檻を手放し、現実をもがけ―

「内向型」という言葉を知ったのは、約4年前。
これまで感じていた生きづらさが全て説明できる、魔法の言葉。

「内向型は欠陥ではない。かけがえのない素質である。」
とても大きな気づきで、自分を責めずに生きられるようになりました。
外向型優位の世界の中、なんとか前に進んでいる自分を励ましたいと、ブログを書いてきました。

chikuseki-history.hatenablog.com


細々とした発信ですが、同じように内向型で悩んでいる方々から、ありがたい言葉もいただけるようになりました。
自分の素質に向き合いながら、毎日必死に生きた軌跡が、誰かの力になっている。
とても嬉しいし、これまでの人生、生きづらさを抱えてきた私自身も、救われたと思います。

ただ、最近思うのです。
今は、「内向型」へのこだわりを、手放すときなのかな、と。

きっかけは、今年6月に経験した休職。
内向型にとって苦手な環境の職場で、適応障害になりました。
詳細はこちらの記事に記載しています。

chikuseki-history.hatenablog.com

 

chikuseki-history.hatenablog.com

 

復職の際、上司に内向型の特長を説明して異動させてもらったのですが、この経験によって、自分にとって「得意な環境」、「苦手な環境」を強く意識するようになりました。

締切に追われる部署は嫌。
自分のペースで仕事ができる部署がいい。
電話が少ない静かな部署がいい。
夜と土日は、ひとりの時間を取りたい。

先月、来年度の異動希望を出す機会がありました。
が、とても悩んでしまって。
復職後の今の部署も、細かい案件を扱っており、日々難題が降ってきます。残業時間は月50時間を超えることも多いです。

「もっと自分に合った環境があるのでは?」
「内向型は外部からの刺激に弱いから、もう無理しないで働きたい!」

もっと仕事量の少ない部署へ異動希望を出そうとも考えました。
内向型の素質を活かして働きたい!
そう思えば思うほど、理想が高くなり、現状の嫌なところが目につくようになったのです。

現在に満足できないと、仕事のやる気も出ません。
自分の居場所はここじゃない…と思うようになって…
心に生まれる違和感を、仕事内容のせいにしたり、
全然関係ないはずの夫のせいにしたり…(夫がもっと家事をテキパキやってくれたらこんなに大変じゃないのに…とか)


悪循環でした。
「内向型」のアイデンティティに囚われて、理想が高くなり、現実が見られなくなっていたんですね。

「内向型」にこだわることは、「苦手」を環境のせいにする危険もはらんでいます。
自分には問題がなく、環境が悪いんだと。
周囲の人や職場は、自分に刺激をもたらす敵だ、と。

でも、現実は思い通りにはいきません。
理想が完全に叶う環境もありません。

「内向型」にこだわりすぎると、頑張れるのに頑張らないで、環境のせいにしてひねくれてしまうおそれもあるんです。

「内向型」は「型」です。
型にはまると、型以外の部分が見えづらくなる。
ミスチルの「名もなき詩」の歌詞に、「自分らしさの檻」という言葉が出てきますが、内向型は、まさに自分らしさの檻だなあ、と思うんです。
「自分には能力がある。内向型に合った環境なら、輝ける。」
そんなプライドは、困難な環境にいるとき、自分を頑なにします。

でも現実は、厳しいし、傷つくことのほうが多い。
だったら、もう、内向型も外向型もない。
傷つきやすく、弱い自分を受け入れ、ほどほどに頑張れたらよし。
内向型にこだわって、視野が狭くなるよりも、傷つきやすさを認めたほうが健全だな、と思うようになったのです。

もちろん、内向型であることを否定する必要はありません。
私が上司への説明で使ったように、他人に自分の特長を説明するとき、「内向型」という言葉は便利です。
苦手なことに取り組むとき、内向型の素質を理解していれば、できなかったときも、必要以上に自分を責めずにすみます。

「内向型」は、自分を守り、自分らしく生きるための武器(ツール)です。
武器を持っていれば(自分が内向型だと知っていれば)、困難に直面しても、落ち着いて対処できます。
生きる力が衰微する本当につらい環境にいるとき、「逃げる」という選択肢を取る勇気もくれるでしょう。

でも、私の人生はツールではなく、私自身が決めるものです。
内向型だから苦手、と思っていることも、工夫してみれば、ある程度こなせるかもしれない。挑戦すれば、新しい世界が開けるかもしれない。

内向型という型に自分を固定しすぎない。
思い通りにいかない現実を、傷つき、もがきながら進む自分をいたわり、大切にする。
そんな姿勢が、今後は大切だと思っています。

私は、今の部署に残留して、もう少し頑張ることに決めました。
この「頑張る」には、「頑張りすぎないことを頑張る」意味もあります。

今の部署は、マイペースでできる仕事は多いですが、サクサク思い通りにはいきません。
毎日大量の仕事が降ってくるし、力不足にモヤモヤするばかり。
家庭と仕事の両立も、手を抜きまくって、なんとか辻褄を合わせている感じです。
家に帰ったら、疲れてダラダラする日ばかりだし、こうすればよかった、と後悔も多いし。

少し厳しい環境にいるとき、自分の心をどう取り扱うか。
今できることをして、小さな一歩ずつ進む。
全部できなくても、6割できればよしとする。
そんな挑戦をしていきたい。


SNSには、キラキラした日々や、意識の高い人たちが溢れています。
でも、ほんとなみんな、うまくいかない現実の中、大量のやるべきことを前に圧倒されながら、葛藤している。
でも、あえてそこを見せないから、自分だけが苦しんでるんじゃないかって、思ってしまう。

だから私は、仕事や家庭という現実をもがき、葛藤しながら心と向き合う、ありのままの姿を発信していきたいです。
内向型の人だけに限らず、同じようにもがいている誰かが、ひとりではないと、力をもらえる。
そんなブログになればいいな、と思っています。