蓄積ヒストリー

内向型女子32歳。東京で、もがいて痛みながら作り出す、余白のある人生。

法律婚か事実婚か?ふたりの価値観が大切―妻の姓を名乗って結婚しました!③―

妻の姓を名乗るにあたり、夫の両親から反対された私たち。

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妥協案として、「事実婚」の選択も検討しました。

事実婚にすれば、夫は自分の姓を名乗り続けることができます。

 

でも、私達は話し合いの上、法律婚を選びました。
事実婚法律婚、どちらを選ぶか考えるとき。
それぞれのメリット、デメリットを比較すると思います。
ただ、大切なのは、事実婚法律婚について、理解を深めることだけではなかったな、と思います。

ふたりは、どんな家庭を築きたいか?
何を大切に生きたいか?
ふたりの価値観を明確にすることが重要でした。

ちなみに、私たちが大切にしたいものはこんな感じでした。
・ありふれた日常の幸せを、かみしめて過ごすこと。
・できるだけ、余計な心配をせずに過ごすこと。
・お互いの意志を尊重しながら自由に生きること

以上を踏まえて、法律婚を選んだ理由を書いていきます。

 

 

1 手続きを省略できる

現在の日本は、法律婚が前提の社会です。
事実婚だと、どうしても法律の保護から外れる部分が出てきます。

もちろん、公正証書の作成、パートナーシップ宣誓等で、事実婚でも夫婦関係を補強することはできます。

ただ、私たちふたりは、臨機応変な対応が苦手なタイプ。
夫婦関係を証明するため、将来、子どもと父親の親子関係を証明するために、煩雑な手続きが増えると、大きなストレスになります。

出産、病気、相続など、人生の一大事に、余計な心配はしたくない。
心穏やかな人生を送りたい。
そう考えたとき、やっぱり法律婚がいいね、と話をしました。

2 けじめがつく

紙切れ一枚だけど、婚姻届に署名をして印を押す。
三者に証人になってもらう。

婚姻届が受理された瞬間から、ふたりは法律上の夫婦になります。
離婚しようとしても、同様の手続きが必要です。

その点、事実婚は、ふたりの意志だけで関係をつくることができます。
とても自由な分、ふたりの強固なつながりや、意思疎通がかなり重要です。
うまくできないと、中途半端な関係になるおそれもあるんですよね…


法律婚では、ふたりのつながりを社会システムが作り出してくれます。
結婚すれば、ムカつくことも、なんでこの人と結婚しちゃったんだろう…と思うこともたくさん出てくるでしょう。
まあでも、離婚するのもめんどくさいし…
とりあえずお互い努力してみるか…

私たちにとって、法律婚はふたりの関係にけじめをつけるものでした。
ふたりがこの先、つらいときも、逃げずに関係を続けられるように。
心の拠り所である家族は、簡単にはゆるがない居場所にしておきたかったんです。

3 妥協しないで自たちをつらぬける

夫の両親は、息子が私の両親の干渉を受けるのでは?と心配していました。
妻の姓を名乗ることについて、「婿入り」のイメージが拭い去れなかったようです。
前述したとおり、今の日本には、嫁も婿もないんですけどね…

交渉を進める中で、夫の両親からは、
「まずは事実婚で様子を見て、干渉がないか確認したい」と提案されました。
事実婚はある意味、夫の両親の意向を汲んだ妥協案でもあったのです。

ただ、その案に乗ってしまうと…
事実婚をしている間、夫の両親が、私たちや、私の両親を疑いの目で見続けることになります。

疑いは、愛の正反対。
私たちは愛のある家庭を築きたい。
絶対に嫌だと思いました。

さらに、事実婚は、夫の両親に気を遣った上での結婚となります。
人生の大事な分岐点は、ふたりで決めたい。
事実婚を選択したら、それこそ、夫の両親の干渉を許してしまう。
嫁や婿など、家制度の概念を黙認してしまう。

私たちは、自由で意見を尊重しあえる家族になりたい。
だから、私たちは、法律婚を選び、妻の姓を名乗って結婚するんだ。
明確な価値観の下、ふたりの意志を貫くことができました。

義父は強く事実婚を勧めてきました。
価値観をふたりで共有していなければ、ブレてしまったかもしれません。
どのような家族になりたいか、十分に話しておいて、本当に良かったと思います。

 

4 工夫したところ

とはいえ、今後の夫の両親との関係を考えると、強硬に法律婚を進めるわけにはいきませんでした。
私たちは、以下3点の工夫をしました。

 

(1)本籍地を新居の住所に

婚姻届には、ふたりの新しい本籍地を記載します。
現在の日本では、本籍地に深い意味はありません。
筆頭者と同様に、「戸籍のインデックス」であるだけです。

ただ、子孫が戸籍を見た際に、まったく関係ない場所が本籍地になっていると、
「なんでここを本籍地にしたんだろう…」
と疑問に思います。
戸籍を遡る際、複数の役所に請求する手間もかかります。

以上を踏まえ、私は先祖代々の土地を本籍地にしたかったのですが…
ここは妥協し、結婚後の新居(賃貸住宅)を本籍地としました。

夫の両親も、結婚の際に新居を本籍地としたそうなので、同じ対応にしたんです。
おかげで、少し説明がしやすくなりました。

なお、夫は、将来私の実家(先祖代々の土地)に戻る際、本籍地も変更することに合意してくれました。

(2)手紙を書いて明確に意志を伝える

私は2回、夫の両親に手紙を書きました。
ふたりの意見は夫を通して伝えていましたが、どうしても親子同士ではうまく話が進まない部分がありました。
特に義父は、夫に対して威圧的な態度を取り、聞く耳がなかったようです。

ここは、私が直接伝えるしかない。
でも、義父と対面交渉するのは、精神的苦痛が大きく感情が揺れてしまう。
だったら、考えをきっちり整理して、ゆるぎない文章にして伝えよう。

私が妻の姓を名乗りたい理由。
私たちが法律婚をしたい理由。
この選択は、ふたりの意志であり、ふたりの幸せにつながること。

夫の両親、ご先祖さまも、自分の両親、ご先祖さまと同じように大切にすること。
自分の言葉で、直筆で伝えました。


手紙の効果は大きかったと思います。
文章化は大変だったけれど、本気度が伝わり、「妻の姓で法律婚」の方向性が固まりました。

(3)友人に証人を頼む

婚姻届の証人欄は、親に書いてもらいたいと思っていました。
結婚自体は、純粋に認めてほしかったからです。

でも、義父は最後まで強固な態度を崩さず。
義母も、義父を差し置いてサインできない、と。

諦めて、一度お互いの友人に証人を頼みました。
義父には、
「この日までにサインしなければ、友人に頼むね」と夫から伝え、様子を見たんです。

「息子の結婚を祝いたい」
その気持ちは義父にもあって。
最後はなんとかサインしてくれました。
代わりに、前述したとおり、私たちを罵倒しましたけどね…

親が反対なら、友人に証人を頼むのも、1つの手だと思います。
「親に認めてもらわなくても、法律婚をする」と、強い意志を示すことができるからです。

 

5 ふたりの価値観がいちばん大切

私たちが法律婚を選んだ理由と、交渉にあたっての工夫をお伝えしました。

法律婚事実婚

どちらが向いているかは、夫婦によって異なると思います。
ひとつひとつ話し合って決める事実婚に、自由を感じる人もいるでしょう。

大事なのは、ふたりの価値観を言語化することです。

そして、両親との関係は、壊さないように努力すること。
やはり、結婚後に頼れるのはお互いの家族です。
いくら反対されてムカついても、罵倒したり、怒ったりしては、今後に悪影響を及ぼします。

感情が激しく揺れると思いますが、ぐっとこらえて、大人の対応を。
※あまりにもふたりの「尊厳」を傷つけてくる親の場合は、一度考え直したほうが良いかと思います。

理性的に、ふたりの価値観を語れるとき、親は関係なく、ふたりが進むべき道が見えるはず。

 

ただ…
ふたりがどうしても別姓を選びたいけど、法律婚がしたい。
その場合、今の制度では、なすすべがありません…


今回の記事を書き、改めて法律婚で得られる保障の大きさを実感しました。


「誰かとともに人生を歩みたい」と思う人のうち、希望する人は誰でも、保障にアクセスできるようになったらいいな。

 

でももし、今の日本に、夫婦別姓法律婚ができる仕組みがあったら…
私たちは夫婦別姓を選んだのか?

う〜む

 

モヤモヤした気持ちになったので、次の記事に書きたいと思います。
少しでも参考になれば幸いです。

 

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4回に分けて書きました。興味のある内容からご覧ください。
私が妻の姓を選びたかった理由
妻の姓を選択、反対されたらどうする?心がまえと乗り越え方
(本稿)法律婚か事実婚か?ふたりの価値観が大切
これからの家と名字の在り方・私たちの選択がつくる物語