都市河川が大好きな28歳女子です。
今日は東京の「暗渠」について語ります。
暗渠ってなんだよ…って声がしますね。
暗渠は、かつて川だったところ。
川を埋め立てたり、蓋をしたり、下水道へ転用したりした場所。
(蓋かけ暗渠 杉並区阿佐ヶ谷近辺)
暗渠は、川だったときの記憶や匂いを強烈に放っていることが多いです。
暗渠を通じて、都市の過去の姿が浮かび上がってきます。
暗渠がある場所は、谷になっていて、ちょっと湿っていて。
川だったときの姿を彷彿とさせるうねりがあります。
たまに、橋や井戸が残ってたり、銭湯や釣堀が周辺に多かったり。
(苔むしうねる暗渠 渋谷区代々木)
(井戸のある暗渠 渋谷区代々木)
東京だって、ほんの100年ほど前までは、林や田んぼが広がっていました。
川は、その中を流れ、子どもたちが遊び、人々の生活を潤していました。
でも、人口が増えるにつれて、あっという間に宅地化の波が東京を飲み込みます。
…川も少しずつ、消えていった。
戦争が終わって、やってきた高度経済成長期。
残っていた川もドブとなり、衛生の観点からも不要なものとなりました。
かつての自然豊かな東京の姿も、そこに川があったことも、忘れ去られた現在。
人々はコンクリートの東京で、今日の暮らしを必死に送っています。
そんな人々の暮らしの集積が、現在の東京のエネルギーとなっている。
東京には、めくるめく土地利用の変化があって、焼失と復興があり、人々の暮らしの変化がありました。
アップデート、アップデートを繰り返して、今の姿になった。
東京は、刻一刻と変化し続ける、ダイナミックな都市です。
でも、東京の暗渠は、アップデートの蓄積に埋もれた過去の東京が、ひょいと顔を出して、むき出しになっている場所。
「もう忘れたかもしれないけど、確かに存在していたんですよ」
時の流れに上塗りされた過去の東京が、静かに、確かに主張している場所。
暗渠に足を踏み入れ、目を閉じる。
100年前、自然の中を駆け回り、川で遊んだ子どもたちの姿が見えるような…
川とともに暮らしていた人々の生きざまがみえるような…
ドブ川のにおいがよみがえるような…
(橋跡、マンホール、暗渠 渋谷区初台 )
暗渠は都市のタイムカプセルです。