蓄積ヒストリー

内向型女子29歳。もがく日常、まちの歴史ものがたり。

東京・目黒川支流の暗渠を歩き尽くせ!vol.3―烏山川最上流部へ―「古地図を持て。冒険へ出よう。」


暗渠の魅力ってなんだろう?

どこまで続いているの?こっちに続きがあった!
心のままに歩くワクワク。

発展し尽くした都市の中に、突如現れる空白。
そこだけ時空がゆがんでいる。

暗渠を辿ること。
それは、時の蓄積が放つ磁力を浴び、好奇心を満たす冒険。

「目黒川支流の暗渠を歩きつくせ!大作戦」
今回は、目黒川の最上流部へ。
烏山川を途切れるまで辿ってみました。

烏山川が教えてくれたのは
「空白こそ物語。」ということ。

なんで、こんな無駄な空間が東京に残ってるの!?
でも、暗渠は静かなエネルギーを秘めていて…
東京の発展の物語が、みえる、みえる。

さあ、都外へ外出しにくい今だからこそ。
古地図を持て。冒険へ出よう。

 

1 烏山川緑道、その先へ

目黒川は、最上流部から目黒川ではありません。
北沢川と烏山川が合流して、目黒川になります。(世田谷区池尻4丁目24番地付近)
北沢川と烏山川は、目黒川の両親ですね。

☆北沢川の支流を辿った記事はこちら

chikuseki-history.hatenablog.com

 
烏山川の大部分は、現在緑道になっています。

www.city.setagaya.lg.jp

でも、きれいに整備されてちゃつまらん。
川らしさ漂う、ありのままの姿の暗渠に会いたい。
暗渠ラバーのこだわりです。

地図で確認すると、世田谷区八幡山24番地付近で一度緑道が途切れていました。
蘆花恒春園のそば)
環八の脇。しかも、地図上では緑道ではなく河川の表示に。
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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。

これは開渠か。開渠なのか!?
興奮が抑えきれぬまま、今回はここから烏山川を攻めることにしました。

2 烏山川、環八脇で放置!?

環八脇で烏山川緑道が途切れる場所には、橋が残されていました。
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道草橋。昭和35年竣工。
なんてすてきな名前なんでしょう。
暗渠めぐりは、道草が思わぬ発見につながります。


で、烏山川、緑道の先どうなってるよ?
そこには、目を疑う光景がありました。
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草。


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大量の草。


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環八の大渋滞の横に、大量の草。
 
河川用地として放置されているとしか思えぬ空間。
開渠こそありませんでしたが、ここはまだ「川」なのでしょう。


古地図で確認すると、環八ができたのは高度経済成長期後。
このあたり、高度経済成長期前までは、烏山川沿いに田んぼが広がっていたようです。

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。

東京の人口が増え、宅地化が進むにつれて、田んぼは住宅街に。
自家用車が増えて、東京全体の交通量も増えて、環八が開通します。

もともとここを流れていた烏山川をどうするのか。
流れを変える?埋め立てる?緑道にする?
いろいろ議論があったのかもしれません。
意見がまとまらず、または予算が足りず、こうなってしまったのかな。

同じ環八脇、都営八幡山アパートが更地になっていました。

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ぽつんと1棟、残された建物。
高度経済成長期に、住宅需要に応えるために作られた建物が、今は更新時期を迎えています。

人間が支配しているように見えても、暗渠は都市を規定し、存在を主張する。
暗渠は、過去の地域の姿と開発の歴史を物語る。
地域の物語は、現在進行形で進んでいます。
高度経済成長期に作られたまちや、建築物が更新される今だからこそ。
地域が持つポテンシャルを見つめ、自然を感じられる持続可能な都市をつくっていきたい。
何ができるか考えていきたいな。

3 烏山川最上流部、めくるめく冒険

環八脇を過ぎると、烏山川は再び緑道として整備されています。
ここから、烏山川最上流部に向かって辿っていきましょう。
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緑道は、しばらく歩くと二手に分かれます。
古地図で確認しても、烏山川には2本の流れがあったことがわかります。
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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。
写真の緑道分岐点は赤丸のあたり

細流が集まり、烏山川を形成したのでしょうか。
分水が、農地を潤していたのでしょうか。
2本の川は並走しているので、行ったり来たりしながら辿っていきます。

☆烏山川①と烏山川②と名付けます

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。

両河川をさかのぼると、緑道も途切れ、京王線越えのポイントへ。
芦花公園駅と、千歳烏山駅の間です。
烏山川①が、アツイことになっていました…

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東京のど真ん中に、道路でも歩道でもない、超無駄な空間!!

緑色は、防水シートでしょうか。
川の跡地、使い道が限られてしまうのでしょう。

その後も両烏山川は、謎の空間を東京にさらし続けます。

・川岸に現れるお地蔵さん(烏山川①)f:id:newgnmn:20200725115235j:image

・バス停でも公園でもないのに置かれたベンチ(烏山川①)

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・また草だらけ…(烏山川②)
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思わずツッコミを入れたくなる光景の数々。
開発し尽くされた東京の中で、マイペースすぎるよ烏山川…

「川としてのプライドは決して捨てん!!」
「この辺も、昔はのどかな農村だったんだぜ!」

烏山川の声が聞こえてくるようです。

次は何が現れるのか?
少しも目が離せません。

両河川は、その後甲州街道を渡ります。

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。

高度経済成長期前、まだ甲州街道がありません。

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。

烏山川① 甲州街道ができても、橋は残る♪
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烏山川② 甲州街道を渡る直前まで、マイペースに草だらけ

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そして、大量の車が行き交う甲州街道上。
ここにも、烏山川たちはちゃっかり痕跡を残していました。

 

烏山川①

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烏山川② 先ほどと同じ写真ですが甲州街道に注目。

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いや~。甲州街道にヒビが入ってるのかと思った。
ぬぐおうとしても、ぬぐいされない、暗渠の力。

甲州街道を越えた後、最上流部に近づいても、烏山川はさまざまな表情を見せてくれます。

烏山北住宅の間を駆け抜ける烏山川①
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※団地と暗渠のコラボに、興奮する筆者

住宅が増え、農地が消えていった時代を見つめた烏山川は、何を思ったのか。
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団地横の駐車場脇に無駄な空間を残す烏山川②
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突如橋を出現させ、筆者をおおいに喜ばせる烏山川①
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この橋が作られたころ、周辺はどんな雰囲気だったのだろう。

思い出すな。
幼き日に、近所の暗渠がどこまで続いているのか歩いたワクワク。
途切れたかな?と思ったのに、続きを発見!
体を駆け巡るのは、
「暗渠も生きているんだ!」という感動。
子どもの頃のように、ただ無心に、暗渠と戯れる。
心の汚れが洗われていく。

暗渠は、自然が豊かだった東京の姿を今に伝える。
歩くだけでタイムスリップできる。
時の蓄積の磁力が、今を、そして未来を応援してくれている気がする。

開発の流れにこびず、自らを貫いている暗渠。
一見、何の役にも立たない暗渠は、東京の空白。
空白なんて無駄だ。壊してしまえ、埋めてしまえ。
でも、空白があるから、私たちは東京の歴史物語に触れることができる。
想像力を働かせ、消えた東京を思い出せる。
過去から未来を学ぶヒントを得ることができる。
遊んでる暗渠空間、地域の自然と歴史を学べるスポットして、整備できないかな~

人生も空白が必要。
誰に何を言われても、自分を貫く強さが必要。
暗渠のように、隠してもにじみ出てしまうくらいで生きていきたい。

古地図を持って冒険に出てみたら、人生について考えていた。
暗渠の魅力ってこういうところだな。

☆烏山川暗渠周辺 おすすめスポット

団地の給水塔
烏山川最上流部付近に残されています。歩いて探してみてください。
宇宙と交信できそう。
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玉川上水が一度地下に入るところ。
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地図ではここ。烏山川最上流部のちょっと先です。

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。

地形で確認してみると…

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。

玉川上水は、高さを維持しながら江戸まで水を流すため、尾根を伝うように作られています。
玉川上水の反対側には神田川が流れている。
玉川上水は、目黒川水系と神田川水系の分水嶺なんですね。

暗渠の魅力たっぷりの、烏山川最上流部。
次の冒険に出るのは、あなたです。