20代のうちに47都道府県制覇!
密かな野望を抱きつつ、時間が空けば旅をしています。
今年の目標は、北陸制覇。8月には富山県を旅しました。(雨の黒部ダムと称名滝など)
そして10月。石川県と福井県へ行ってきました。
金沢と、福井県は東尋坊と三国湊へ。2泊3日で金沢に2泊。中日に福井県へ移動しました。(今回の旅のだいたいのスケジュールはこんな感じ)
今日は、もっとも心に響いたまち、福井県三国湊のお話をします。
1 東尋坊から三国湊へのアクセス
当初この旅では三国湊へ行く予定はありませんでした。福井県は東尋坊だけ見て、金沢へ帰ってこようと思っていたので…。
が、東尋坊の遊覧船は波が大荒れに着き欠航。早起きが得意なので朝9時20分には東尋坊に着いていましたが、遊覧船に乗れない分時間が余ることがわかりました。
大荒れ
大荒れの海も迫力があり日本海らしさ全開で気持ちがよかった。そして、私はレトロ建築が好きなので、東尋坊タワーで結構テンションが上がっていました。ここ、昭和40年か…?(今令和。)
昭和40年で時が止まったかのような東尋坊タワー。調べてみたら昭和39年完成だったのであながち間違ってなかった。前の東京オリンピックの年やん…。展望台何もなくて笑った
さて、ちと時間早いけど帰るか…そう思ったとき、ふと置いてあった三国湊の観光マップを手に取ったのです。
レトロ建築が残る古き良き港町…。
いくしかないべ。(即決)
いやはや、この判断は大正解。三国湊は、今回の旅で最も心に残る場所となりました。
東尋坊からは日本海の風景を見ているとアッという間に着くので、ぜひ東尋坊にお越しの際には一足伸ばしていただきたいまちです。
http://www.mikuni.org/010_spot/caltural.php#Minato
(公式観光サイト)
2 かつての遊郭跡 出村
降り立った三国湊は、港町独特の海を感じる空気を湛えた静かな町でした。
足を止めると、聞こえてくるのは鳥の声と風の音のみ。だけど、そこで人が確かに暮らしている温かみがあり、決して寂しい雰囲気ではない。木造の町屋が軒を連ね、道路もコンクリ舗装ではなく黄土色の小石が敷き詰められていて、優しさがある。
三国は、江戸時代に北前船の寄港地として繁栄したまちです。大きな港があれば人が集まる。人が集まれば遊郭ができますよ。
…ということで、三国にも出村遊郭という遊郭がありました。日本海側有数の遊郭だったようです。
今はそれらしき雰囲気はありませんが、古い建物が残る出村を歩くと往時の姿が想像できるような…
「行くか、行かぬか。お金がなあ。妻子がなあ。でも行きたい…」
この橋のたもとに立ち、迷った男たちがいたことでしょう。
そして、行った後には見返り橋でくるわを振り返り、名残りを惜しむ、と…。
今は小さな水路にかかる小さな橋の、見返り橋
今は名残りはなくとも、大いに繁栄していた時代を、道は、橋は、まちの空気はたしかに覚えている。出村を歩くと、往時に降り立ったかのような錯覚に陥りました。
3 旧森田銀行本店
さて、出村から少し歩くと、三国湊きたまえ通りへ。ここは、三国観光のメインストリートです。といっても、静かな港町の雰囲気はそのまま。
現れたのは、旧森田銀行本店。
1920年完成。大正モダンな建物。
細部までこだわった荘厳な仕上がり。たまらんですわ…
三国湊は、北前船の廻船業の豪商たちが支えたまちでしたが、明治に入り鉄道開通等に伴って衰退の兆しが現れました。森田さんは豪商の一人でしたが、時代を読み取って業種転換を図り、銀行を開業したそうです。
重厚な扉を押して、建物内に入った瞬間に空気が一変。
あ、ここ1920年だわ。大正時代だわ。
最高か…!
高い天井に施された、漆喰模様。
ケヤキ1枚板のカウンター。
階段や壁に、静かに、確かな存在感を示す花綱の彫刻。
寄木細工の床。
100年前の意匠は、華やかだけれど、上品でどこか落ち着きがある。
量産ではなく、1つ1つに職人の思い―愛が込められている。
その愛に応えるように、丁寧に使われていたのがわかる。
建物のいたるところに技術の高さとぬくもりが感じられ、100年の時の重みが重なって、三国に生きた人々の物語が息づいています。
こちらのエンタシスの柱。
大理石のようですが、鉄筋コンクリートの柱に漆喰を塗り、模様をつけているそうです。
マーブル仕上げという左官の技らしいのですが、現在日本ではこれができる人はいないそう。
左官さん「森田さんさ、この柱特別にマーブルで仕上げときますよ。せっかく新しい本店を作るんですからね、モダンでおしゃれにしちゃいましょ。」
森田さん「おお、ありがとう。廻船業から転換したときはどうなることかと思ったが、こんなうつくしい建物ができるとは…三国でずっと生きてきてよかった」
こんな会話があったかは知りませんが、柱一本にもストーリーが宿っているのが、しっかりと伝わってくるのです。
100年の時を吸収した電話交換室のガラス。時の蓄積を感じる…
4 福井県のご当地バーガー 三國バーガー
さて、森田銀行を出たところで帰りのバスの時間が迫ってきました。
本当は三国湊の歴史が学べる資料館「マチノクラ」にも行きたかったけど、なぜか休館。またの機会にしましょう。
三国湊の観光拠点、三國湊座のレストランで、三國バーガーをテイクアウト。
三国産のらっきょうに、福井県の焼き立てビーフが入ったご当地バーガーです。
金沢へ帰る電車の車内でいただきました。肉汁うま~~
5 石川と福井を旅して
この日は、金沢へ戻った後、ひがし茶屋街と主計町茶屋街をぶらぶら。お茶屋建築や、金沢の工芸品をたっぷりと見て、ゆったりと時を過ごしました。
慌てて動き回ることもなく、歴史と小さな美をしっかりと堪能できた一日。
三国湊では、東京であれば、すぐに壊されてしまうであろう古い建物が、メンテナンスされつつ今も大切に使われていました。
三国湊も、金沢も、歴史が上塗りされず、人々の暮らしの蓄積の重みがそのまま、現在の生活に引き継がれている感覚を感じることができる場所でした。それは、まちのアイデンティティとして、温かみとなってにじみ出ている。
やっぱり、東京は大きすぎるし、無機質でうるさくて、建物も歴史も、次々にアップデートされて、時の蓄積の厚みを感じにくい都市です。
さまざまな都市やまちを歩くことで、東京のよさも、悪さも理解できる。それでも東京で生きる意味を考えていかないとな…。
東京で日々雑事に追われて消耗していた心と体に、久々の静かで豊かな時間をプレゼントできた旅でした。
ちなみに47都道府県制覇は、残り8県。(熊本、宮崎、佐賀、愛媛、香川、徳島、山口、鳥取)
今年の内に熊本宮崎も行きたいところですが…いかに!?
1日目(金沢。暴風雨につき屋内中心)
8時45分金沢着
近江市場ぶらぶら。海鮮丼とのどぐろ汁をいただく
成巽閣
石川県歴史博物館
21世紀美術館
金沢おでんをいただく
2日目(福井&金沢 晴れ)
東尋坊10時53分発 京福バス 堅町永生寺10時59分着(出村最寄り)
三国湊ぶらぶら歩き
三国湊北前通り12時13分発 京福バス 芦原温泉13時7分着
芦原温泉13時11分発 特急しらさぎ 金沢13時48分着 三國バーガーをいただく
主計町茶屋街
ひがし茶屋街
金沢カレーをいただく
3日目(金沢 晴れ)
金沢城公園
長町武家屋敷跡 お昼に石川県の郷土料理 治部煮をいただく
にし茶屋街
寺町寺院群
15時55分の新幹線で東京へ