蓄積ヒストリー

内向型女子29歳。もがく日常、まちの歴史ものがたり。

北区赤羽・十条の3つの谷で味わう、廃線・団地・暗渠―都内屈指の高低差スポット―

 

絶対密にならない外出が、ここにある。

東京都北区。新河岸川隅田川荒川放水路が広がる赤羽・十条付近。
都内屈指の高低差スポットなのをご存知ですか?

地図と地形をみてみましょう。

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」をキャプチャ


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 (一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。緑色=埼京線 青色=京浜東北線

川が作り上げた河岸段丘
直線的な崖が、京浜東北線に沿って続いています。

今回は、この段丘に刻まれた、3つの谷を味わってきました。

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工

高台も、谷も美しい。
廃線・団地・暗渠を一気に味わえる、贅沢なまちあるきコースです。 

一緒に歩いていきましょう!

 

1赤羽の谷①―軍用貨物線跡を歩く―

まずは1つ目の谷。
地形図と戦前の古地図を比べると、谷にそって線路が敷かれているのがわかります。

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。

高度経済成長期までは存在していた、この線路。
今でも、しっかり辿ることができるんです。

スタートは赤羽八幡神社
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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工


神社参道の絶妙なカーブ。線路を彷彿とさせる…
参道脇の空間は、石(バラスト)がちらばり、鉄道用地感を醸し出しています。

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この神社、赤羽の台地を線路が突っ切る、「赤羽台トンネル」の入口にあります。

赤丸のところが境内。台地の上です。
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 (一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工

境内へは階段を登ります。
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赤羽台トンネルは、地図上の緑色。
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 (一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工

 

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境内では、京浜東北線と、赤羽台トンネルに入る直前の埼京線、新幹線を、一度に見られます♪


電車きた~!!
子どもたちが大喜びで線路を眺めていました。
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さて、神社から、赤羽台団地へ向かって歩いていきます。美しいカーブだぜ…
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しばらく歩くと、廃線跡がわかりやすく緑道に!(赤羽緑道公園)
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地図でいうとこのあたり。

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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工

赤羽の台地の上には、かつて、広大な軍用地がありました。
火薬庫、被服敝、兵器庫など。ものものしい…
軍事的に重要な施設を守るには、高台を使うと安心ですよね。


ぐんぐん軍用地(関東大震災直前の地図)
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 (一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工


かつて、軍用地が広がり、戦争のための物資を運ぶ貨物列車が走った赤羽。
今、軍用地は公共施設や学校、団地に転用されています。廃線跡は、みどり溢れる静かな散歩道です。

 

戦争から平和へ。
平和な時代を生きる私たちが、何も知らずに歩けば、ただの癒し散歩コース。
でも、赤羽の土地には、東京が積み重ねてきた歴史が、そっと息づいているのです

 

2 赤羽の谷②―赤羽台団地スターハウスから―

2つ目の谷。

この谷を味わうのにオススメの場所は、
赤羽台団地の「スターハウス」です☆★
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 (一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工

赤丸がスターハウスの場所。

…スターハウス?ほしのいえ?
そう。珍しい星形の団地が残っているんです!!

codan.boy.jp

 

赤羽台団地のスターハウスは、昨年、国の登録有形文化財に指定されました!

赤羽台団地は、1962年完成です。
当時は「日常」だった人の暮らし。
時が蓄積すれば、歴史となり、過去を知る貴重な資料となる。

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今はうっそうと草が茂るスターハウス。
近々再開発により、スターハウスは守りつつ、ここに団地博物館ができるとか。
激熱じゃんね~…

 
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再開発完了した団地をバックにスターハウスを見る


話を赤羽の谷②へ戻しましょう。
スターハウスのある台地から、赤羽の谷②を眺めると、こんな感じ!

こうやってながめる↓
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 (一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工


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谷のむこうが高くなり、赤羽の地形がよくわかる。
崖にへばりつくように連なる家並み。
点在するみどり。
人間は、地形の上に住まわせてもらっていること、身に沁みます。


赤羽は高台に登ってなんぼのまち。目の前の景色が、サッと開けます。
気になる坂に登ってみると、思わぬ感動が待っているかもしれません。

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3 赤羽の谷③―稲付川暗渠を歩いて―

3つ目の谷。
暗渠となった、「稲付川」が削った深い谷です。

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 (一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工


川の上流からたどってみましょう。
環七が走る「姥ケ橋陸橋」。
その名のとおり、ここには姥ケ橋という橋があり、稲付川が流れていました。

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姥ケ橋陸橋の交差点を渡ると、怪しい茂みを発見…
隠れきれてないぞ、暗渠さん♪

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奥まで進んでみると…
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橋がそのままに!!
更新が激しい東京に残る、歴史むき出しスポット。

 

さて、環七と稲付川の交差点へ戻りましょう。
ここにかかる歩道橋は、少し変わってるんです。

歩道橋の階段を降りたのに…
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まだ続きがある!!f:id:newgnmn:20200613102612j:image

歩道橋を完全に降りると、そこは稲付川の川底。
水車の絵が地面に描かれています。
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稲付の名のままに、このあたりはのどかな農村だったのでしょうか。
目を閉じて、想像してみます。

 

谷。 

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谷。

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谷。

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稲付川の下流に向かうほど、両脇の台地は高くなっていく。
台地の上は緑が深く、谷底はしっとりした空気。
失われた東京の原風景が、垣間見える場所です。

稲付川の下流部には清水坂公園があります。

地形を生かして作ったスライダーが、子どもたちに大人気!
地名のとおり、崖から清水が湧いていたのかな。

場所はここ
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(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工

parkful.net

 

突然現れる階段。
次から次へ出てくるねこたち。
ここは尾道なのではないか?と錯覚してしまう。

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稲付川暗渠は、時間の流れ方が周囲と違う。
東京の過去と今をつなぐ、タイムトンネルです。

4まだまだあるぞ。北区の見所

北区は工場が多かった土地柄。今日紹介した以外にも、貨物線の廃線がたくさんあります。
暗渠もひっそり、しっかり生きている。
切り立った台地の上、まだ知らないビュースポットもたくさんあるはず!

自粛でなまった体に染み入るのは、歴史の蓄積と、美しい地形。
時間をかけて、じっくりめぐりたい北区でした。