絶対密にならない外出が、ここにある。
東京都北区。新河岸川と隅田川、荒川放水路が広がる赤羽・十条付近。
都内屈指の高低差スポットなのをご存知ですか?
地図と地形をみてみましょう。
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」をキャプチャ
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。緑色=埼京線 青色=京浜東北線
川が作り上げた河岸段丘。
直線的な崖が、京浜東北線に沿って続いています。
今回は、この段丘に刻まれた、3つの谷を味わってきました。
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工
高台も、谷も美しい。
廃線・団地・暗渠を一気に味わえる、贅沢なまちあるきコースです。
一緒に歩いていきましょう!
1赤羽の谷①―軍用貨物線跡を歩く―
まずは1つ目の谷。
地形図と戦前の古地図を比べると、谷にそって線路が敷かれているのがわかります。
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工。
高度経済成長期までは存在していた、この線路。
今でも、しっかり辿ることができるんです。
スタートは赤羽八幡神社。
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工
神社参道の絶妙なカーブ。線路を彷彿とさせる…
参道脇の空間は、石(バラスト)がちらばり、鉄道用地感を醸し出しています。
この神社、赤羽の台地を線路が突っ切る、「赤羽台トンネル」の入口にあります。
赤丸のところが境内。台地の上です。
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工
境内へは階段を登ります。
赤羽台トンネルは、地図上の緑色。
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工
境内では、京浜東北線と、赤羽台トンネルに入る直前の埼京線、新幹線を、一度に見られます♪
電車きた~!!
子どもたちが大喜びで線路を眺めていました。
さて、神社から、赤羽台団地へ向かって歩いていきます。美しいカーブだぜ…
しばらく歩くと、廃線跡がわかりやすく緑道に!(赤羽緑道公園)
地図でいうとこのあたり。
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工
赤羽の台地の上には、かつて、広大な軍用地がありました。
火薬庫、被服敝、兵器庫など。ものものしい…
軍事的に重要な施設を守るには、高台を使うと安心ですよね。
ぐんぐん軍用地(関東大震災直前の地図)
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工
かつて、軍用地が広がり、戦争のための物資を運ぶ貨物列車が走った赤羽。
今、軍用地は公共施設や学校、団地に転用されています。廃線跡は、みどり溢れる静かな散歩道です。
戦争から平和へ。
平和な時代を生きる私たちが、何も知らずに歩けば、ただの癒し散歩コース。
でも、赤羽の土地には、東京が積み重ねてきた歴史が、そっと息づいているのです
2 赤羽の谷②―赤羽台団地スターハウスから―
2つ目の谷。
この谷を味わうのにオススメの場所は、
赤羽台団地の「スターハウス」です☆★
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工
赤丸がスターハウスの場所。
…スターハウス?ほしのいえ?
そう。珍しい星形の団地が残っているんです!!
赤羽台団地のスターハウスは、昨年、国の登録有形文化財に指定されました!
赤羽台団地は、1962年完成です。
当時は「日常」だった人の暮らし。
時が蓄積すれば、歴史となり、過去を知る貴重な資料となる。
今はうっそうと草が茂るスターハウス。
近々再開発により、スターハウスは守りつつ、ここに団地博物館ができるとか。
激熱じゃんね~…
再開発完了した団地をバックにスターハウスを見る
話を赤羽の谷②へ戻しましょう。
スターハウスのある台地から、赤羽の谷②を眺めると、こんな感じ!
こうやってながめる↓
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工
谷のむこうが高くなり、赤羽の地形がよくわかる。
崖にへばりつくように連なる家並み。
点在するみどり。
人間は、地形の上に住まわせてもらっていること、身に沁みます。
赤羽は高台に登ってなんぼのまち。目の前の景色が、サッと開けます。
気になる坂に登ってみると、思わぬ感動が待っているかもしれません。
3 赤羽の谷③―稲付川暗渠を歩いて―
3つ目の谷。
暗渠となった、「稲付川」が削った深い谷です。
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工
川の上流からたどってみましょう。
環七が走る「姥ケ橋陸橋」。
その名のとおり、ここには姥ケ橋という橋があり、稲付川が流れていました。
姥ケ橋陸橋の交差点を渡ると、怪しい茂みを発見…
隠れきれてないぞ、暗渠さん♪
奥まで進んでみると…
橋がそのままに!!
更新が激しい東京に残る、歴史むき出しスポット。
さて、環七と稲付川の交差点へ戻りましょう。
ここにかかる歩道橋は、少し変わってるんです。
歩道橋の階段を降りたのに…
まだ続きがある!!
歩道橋を完全に降りると、そこは稲付川の川底。
水車の絵が地面に描かれています。
稲付の名のままに、このあたりはのどかな農村だったのでしょうか。
目を閉じて、想像してみます。
谷。
谷。
谷。
稲付川の下流に向かうほど、両脇の台地は高くなっていく。
台地の上は緑が深く、谷底はしっとりした空気。
失われた東京の原風景が、垣間見える場所です。
稲付川の下流部には清水坂公園があります。
地形を生かして作ったスライダーが、子どもたちに大人気!
地名のとおり、崖から清水が湧いていたのかな。
場所はここ
(一財)日本地図センターが作成した「東京時層地図」を加工
突然現れる階段。
次から次へ出てくるねこたち。
ここは尾道なのではないか?と錯覚してしまう。
稲付川暗渠は、時間の流れ方が周囲と違う。
東京の過去と今をつなぐ、タイムトンネルです。
4まだまだあるぞ。北区の見所
北区は工場が多かった土地柄。今日紹介した以外にも、貨物線の廃線がたくさんあります。
暗渠もひっそり、しっかり生きている。
切り立った台地の上、まだ知らないビュースポットもたくさんあるはず!
自粛でなまった体に染み入るのは、歴史の蓄積と、美しい地形。
時間をかけて、じっくりめぐりたい北区でした。