蓄積ヒストリー

内向型女子32歳。東京で、もがいて痛みながら作り出す、余白のある人生。

価値観の違うあの人との付き合い方―NOジャッジ&NOエモーション、あの人の物語に思いを馳せて―

まったく話が通じない、取引先の社長と交渉し、疲弊していました。
東大卒の29歳。
素晴らしい頭の回転で、正論を振りかざし、自分の都合に合わせて物事を進めようとするんです。

家庭では、夫との違いにイライラ。
なぜ歯磨き粉を最後まで使わないのか。
なぜ温泉卵は好きなのに、ゆで卵は食べられないのか。笑

親戚づきあいでは義父にイライラ。
男尊女卑に染まった思考で、まとまらない話ばかりで時間の無駄。

きいいい~~~~
理解できん!!!

相手に怒っていると、時間があっという間に経過します。
時間とエネルギーを浪費して、自己嫌悪。
心身モヤモヤのまま翌日を迎える…

そんなことを繰り返していました。

なんとかしたい。
価値観の違う他人に振り回されず、「それなりに付き合う」にはどうすべきか。
経験を基に考えた結果を書いていきます。

皆さんの 「きいいい~~」 が、
「人間だもの」 になりますように。

 

1 時間とエネルギーを使ってしまうのはなぜ?

私ならこうするのに。
なんでこの人はこうなんだろう。

自分の価値観と相手の言動を照合し、相手を「正したい」と思うからこそ、相手が許せなくなります。
でも、どんなに怒っても、相手が変わることはありません。


逆に、相手の価値観に寄り添うとどうなるでしょう。
波風は起きないかもしれません。
でも、自分の価値観を押し殺すと、モヤモヤがたまります。
威圧的な相手の場合、完全に相手のペースに巻き込まれるおそれも…

怒って相手を変えようとしてもダメ。
相手に寄り添ってもダメ。
どうするか?
そこで生み出したのが、Noジャッジ&Noエモーション戦略です。

2 Noジャッジ戦略~相手の言動を「単なる事実」と認識する~

自分を「正」、相手を「悪」にすると、許せなくて怒りが湧いてきます。
だったら、「正」も「悪」もなくせばいいんじゃない?
お互い、それぞれの方向を向いて、存在しているだけ。

「自社都合を押し通しても、会社って存続できるんだ」
「歯磨き粉残ってても、捨てる選択もあるんだ」
「ほんと、無駄話が次から次へと出てくるなあ」

ふ~ん、そういうやり方もあるのね。
私はそうしないけど。
以上。

相手の言動を「単なる事実」として認識し、「悪」としてジャッジしないのです。

どうしても怒りが湧くなら、昔話風にするのもおすすめ。
「令和の時代、無駄話が止まらない60代の男がいました」
自分に関係ない、遠いところのお話というスタンスで。
単なる事実だと思えば、怒りでエネルギーを浪費せずにすみます。

3 Noエモーション戦略~大切にしたい価値観を言語化する~

とはいえ、人間だもの。
相手への怒りや、嫌悪感はどうしても生まれてしまいます。

「嫌だ!」と感じる部分。
それは、相手の言動と、自分が大切にしたい価値観が合わない部分です。
でも、怒り狂っても、消耗する上に、相手には通じません…

まずは、嫌悪感を切り離して、霧散させましょう。
どうやるって…?

大切にしたい価値観を「言語化」するんです。
相手への怒り(外)ではなく、自分の心(内)に向き合うんです。

・外向き

・内向き

相手を「嫌」と感じるのはなぜ?
心に問いかけます。
私の場合は、こんな風に…

 ・自己主張と正論を振りかざす相手が嫌
  ⇒対話を重視し、争わずに物事を進めたいから

 ・歯磨き粉を最後まで使わないのが嫌
  ⇒もったいないから

 ・無駄話が嫌
  ⇒深く意味のある対話で、お互いの内面を掘り下げたいから

太字部分が、私が大切にしたい価値観です。
じゃあ、なんで大切にしたいの?
自分に問いかけながら、さらに言語化していきます。

 ・自己主張と正論を振りかざす相手が嫌
  ⇒対話を重視し、争わずに物事を進めたいから 
  ⇒立場は違えど、歩み寄って共に生きていきたい


 ・歯磨き粉を最後まで使わないのが嫌
  ⇒もったいないから
  ⇒限りある資源を大切にしたい


 ・無駄話が嫌
  ⇒深く意味のある対話で、お互いの内面を掘り下げたいから
  ⇒相手と心から通じ合いたい


ここまでくれば、相手への怒りや嫌悪感(悪い感情)はなくなりますよね。
あとは大人になって、自分の価値観を淡々と伝えてみましょう。

たとえ、相手に理解してもらえなくても。
大切にしたい価値観を伝えられたら、相手に寄り添いすぎて、自分を押し殺すこともありません。

でも、いざ自分の価値観を相手に伝えると、どうしても感情は湧いてきます…
それでいいんです。人間だもの。
当然感情はあるわよ。

大切なのは、感情に振り回されて消耗しないこと。
貴重な自分のエネルギーを、無駄にしないこと。

湧いてきた感情は、心にためこまずに言語化する。
むき出しのまま、相手にぶつけなけないように。

とにかくノートに書きだす。
気の置けない人に聞いてもらう。
どこかで解放すれば、そのうち消えていきます。

私は、「争いを避けたい」という気持ちが強く、相手に合わせてしまうことが多くありました。
自分の価値観を犠牲にして、とても苦しかったです。
「争わない」ためには、「寄り添う」しかないと思っていたんですよね。


でも、争わない方法は、寄り添うだけじゃないと気づいたんです。
お互いの価値観を理解する。
その上で、「私とあなたは違う」と別々の道を歩く。
必要以上に関わらない(スルーする)のも、争わない方法。

もちろん、憎しみ合ったままスルーするのは建設的ではありません。
別々の道を歩くには、一度感情を切り離し、意見を述べ合うことが必須です。
ここが、難しいんですけどね。

人間は、これができない。
意見を述べ合うより、相手を排除したほうが楽だし、優越感も感じられる。
戦争が起きる原因でもあるよなあ…
でも、個人レベルではできる限り努力をしていきたい。

対話が難しく、意見を述べ合えない場合もあるでしょう。
危害を加えてくる相手だと、そもそも対話が成立しないかもしれませんね…

その場合でも、自分の価値観を言語化したうえで、相手の立場を想像することが必要です。(4 あの人の物語を考える 参照)
やっぱり理解し合えないと思ったら、離れる。
最低限の関わりのみを持つ。
離れることは、自分も相手も、大切にすることなのです。

4 あの人の物語を考える

理解できないあの人も、これまで一生懸命生きてきました。
あの人にも、自分と同じように大切にしたい価値観がある。
あの人の置かれた状況、育った家。
普段過ごす場所、周りの人。
毎日の蓄積が、あの人の言動を作っています。

表面に出てきた言動だけで、相手を判断すると、怒りが湧いてきます。
でも、想像を膨らませて、相手の物語を深く考えてみたら…

 正論を振りかざす若社長
 ⇒小さいころから頭が良くて、怖いものがないのかな。
  私より若いのに社長なんて、プレッシャーすごいだろうな。
  弱さを見せられずに、本当はつらいと感じてるのかも。

 歯磨き粉を最後まで使わない夫
 ⇒おおらかな家庭で育ったんだな。
  単に、まだ中に歯磨き粉が入ってると知らないだけかも。
  一人暮らしじゃ誰も教えてくれないもんな。頑張って一人暮らしてたんだな。

 無駄話ばかりの義父 
 ⇒無駄話で注目されることで、存在感を誇示しているのかな。
  劣等感が強いのかな。兄弟や同僚と常に比較されてたのかな。
  生きづらかっただろうな。

相手が、一気に生身の人間として見えてきます。
相手の価値観を、「理解できない」とか、「おかしい」とか、言えないよなって思えてきます。

私も、毎日必死にもがきながら、傷つきながら、生きてきました。
その中で、譲れない価値観が生まれている。
それは、相手も同じことです。

相手を否定したら、彼らの1日1日の積み重ねを、存在を否定することになるから。
尊敬と愛のない態度で相手に接することになるから。

想像力を巧みに使って、相手の毎日と歴史に思いを馳せてみる。
そう、あの人も、あの人の物語を生きているのです。

5 価値観が違うあの人とどう付き合うか

Noジャッジ&Noエモーション戦略、
そして「物語」で、ちょっとはうまく付き合えそうでしょうか。

自分が不快にならないように。
そして、自分の時間とエネルギーを生産的に使うためにも、お試しください。

私もまだまだ感情に流されていますが…
人間って難しいですね。