上野の東京博物館のすみっこに、廃駅があるのをご存知ですか?
その名も、博物館動物園駅。
営業は、1933年から1997年まで。
小さな駅舎は、帝都復興時代のモダンな美しさを湛えて、今もたたずんでいます。
2020年2月。
普段は入れない博物館動物園駅が一般公開されました。
切符売り場へ向かう階段は、まるで異世界の入口のよう……
打ちっぱなしコンクリートと、窓が醸し出す1933年感。
切符をここで買ってだな。
お手洗いに行ってだな。
嗚呼、あの木の改札を通って、ホームに向かえた人たちがうらやましい…
(公開は、ホームに降りる階段の手前までです。)
ちなみに、駅構内に入れる一般公開は本日まで。
「え~、私も博物館動物園駅見たかった~…」
ふっふっふ、そんなあなたにひとつ、裏技をお教えしましょう。
(私も教えてもらって初めて知り、ここ数か月で一二を争う興奮でした。。)
地下を走る真っ黒な車窓に目をこらして…
きますよきますよ、わりとすぐですよ…!
ふわっと、ほの暗く、浮かび上がるは博物館動物園駅のホーム。
柱やベンチ、黄色い壁のタイル。壁画もあったかな…?
営業を停止した23年前で時が止まったまま。
1933年から刻まれた、90年近い時の重みもあふれ出て…
胸にしまったまま美化された思い出が、一瞬だけ、顔をのぞかせたような切なさ。
表面だけ見ていたら気付けないけれど、
ぼーっと流されていたら、見つけられないけれど、
たしかにそこにある、物語。
見えないもの、埋もれゆくものに目を注ぐ、心の豊かさ。
効率、スピード、結果……
ほんとに大切なものって、なんだっけ?
廃駅のホームは、電車に乗ると一瞬で通過してしまいます。
「そこのあなた、ちょっと立ち止まってみませんか?」
見つけることができた人だけに、ホームが語りかけてくれるような。。
ぜひ、ご自身の目と心で確かめてみてください。
次の一般公開はいつなんだろう。博物館動物園駅、また会いたいな。